JAが遺言信託をすると言うと、「なぜ?」と思う人がいるかもしれません。しかし、この仕事はJAにとって重要な位置づけをもっています。というのも、組合員の方々の相続には、農地の維持や後継者問題など、次世代に生業をつなげていけるかどうかに関わる様々な課題があるからです。県内の地域ごとの持続的な農業振興を促進することを目指し、そのために地域農業を金融の観点から支援していこうという神奈川県信連にとって、組合員の方々の遺言書作成をサポートしていく意義はまさにそこにあります。
私が担当している仕事の内容をお話しします。まず、地域の窓口である各JA支店を通して、組合員であるお客様から相続の相談が私たち相続遺言・信託センターに入ります。そこで私たちがお客様と面談し、詳細を丁寧にお伺いします。そのうえでお客様の資産の状態や規模、あるいはさまざまな事情を考慮し、相続人との関係づくりや相続手続きなどについてアドバイスさせていただき、一緒に遺言書の文案を作成します。端的に言えばこれは、法律に則った遺言書作成のお手伝いです。さらに遺言書の管理を経て、遺言者がお亡くなりになった後も、遺族への想いとともに遺言書の内容を相続人にお伝えします。相続人の方からご要望があれば、その後の相続手続きのお手伝いもさせていただいています。
お客様の内面に深く入る仕事なので、それ相応の信頼を得ていなければできるものではありません。
私たちに寄せられているお客様からの信頼の源泉は、これまで地域の各JAがお客様に対して真摯なサポートをすることよって培ってきた信頼です。その信頼があるからこそ、私たち神奈川県信連が遺言者から大事なお話を伺うことができ、相続手続のお手伝いもできることになるのです。
そして、私たち神奈川県信連が遺言者の想いを次世代の方にお繋ぎすることで、世代を超えて安定的で持続的な農業経営が可能になるということです。
遺言信託の仕事には、神奈川県内の農業経営者に対する“時間を超えた支援”というきわめて重要な役割があるのです。
もちろん、遺言には後継問題やご家族が大きく関わるため、最初の相談から半年や1年で結論が出ないことも多くあります。そこで重要となるのは、遺言者とご家族の不安を解消できるぐらい丁寧に、親身になって相手の話を傾聴することです。その姿勢こそが、遺言信託業務を通してさらなる信頼を醸成していくための基本だと日々実感しています。以前、「遺言書ができたからホッと安心できるようになったよ」とお客様からお声かけいただいたことがありました。この仕事をやっていてよかったと、心から思えた瞬間です。
お客様との会話で信頼関係を築き、お客様の思いを次世代につなげる遺言書が作られるようお手伝いをする、それは、わたしが将来就きたいと思っている財務コンサルタントの役割です。
遺言書の作成の相談をされる方は、ご年配の方や後継者の方が多く、知識や経験を豊富にお持ちです。
お客様と信頼関係を築くためには、ファイナンシャルプランナーや宅地建物取引士の資格だけではなく、税制や法律に関する情報を日々収集することが欠かせません。
もちろん、財務コンサルタントになるために最も重要なことは、お客様とお会いし、直接お話しを伺う事で、実践的に身に付く知識とノウハウです。お客様のライフスタイルをあらゆる角度から支援するためには、幅広い面で自分を成長させていく、自己鍛錬が必要だと強く感じるようになり、毎日がお客様から学ぶ機会です。
月曜日
相談者(組合員)との面談
・組合員の方々と面談。後継者の方々とも会うこともでき、取引深耕の一助にも。
支店担当者と協力して組合員の不安を解消していきます。
・面談後は事務所で報告書等の作成。
火曜日
遺産整理のため関係各所打合せ
・金融機関に預貯金解約の手続。税理士と納税についての打合せ等。
水曜日
JA主催のセミナーに出席
・財務コンサルタントが講師をするセミナー。
・忙しい中足を運んでいただいた組合員の方々に、遺言信託のご紹介をすることもあります。
木曜日
公証役場で遺言書作成の立ち会い
・慣れない手続きでも、相談者がリラックスできるような心配りも担当者の重要な仕事です。
金曜日
稟議書の作成
・それぞれの案件に適した資料作成を心がけます。
・上司との定期的なミーティング。不安なこと、わからないことはまず指導を受けます。
・まわりの財務コンサルタントにも相談。
番外編
セミナー受講
・税理士や弁護士から、最新の税制や判例について講義を受けます。
・勉強熱心な組合員の方々も多いので、積極的に最新の知識を習得していくことが重要になります。
自己啓発
・遺言信託の業務には必要な資格(ファイナンシャルプランナー1級、宅建等)の勉強はもちろん、新聞(日経の朝刊など)に毎日目を通すことが欠かせません。株価や経済だけではなく、文化欄なども幅広く!
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