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健康百科



歯周病の原因と治療

佐久総合病院名誉院長●松島松翠


  歯周病は、「歯そのものの病気」ではなく、「歯を支える組織の病気」です。従って、歯周病が進むと、最終的には歯が抜けてしまいます。中高年で歯を失う原因で最も多いのがこの歯周病です。しかし歯周病は、最近の研究によると、単に口の中だけではなく、糖尿病、動脈硬化、心筋梗塞など、全身のさまざまな病気と密接な関係があることが分かってきました。


  歯周病の原因は、プラーク(歯垢〈しこう〉)というさまざまな生きた細菌が集まったものが、歯の表面に付着することです。プラークがたまると、細菌が出す毒素や有害物質によって、歯周組織に炎症が起こります。すると歯肉(歯茎)が赤く腫れたり、出血が起きたりします。さらに進むと、歯を支えている歯槽骨が溶け、歯がぐらぐらしてきます。


  歯周病の治療で最も重要なのは、歯磨きなどによって、歯の表面や歯と歯肉の間にあるプラークを取り除くことです。プラークは食べかすなどとは違って、のりのように歯にべったりと付着するので、口をすすぐ程度では落とすことができません。やはり歯磨きが基本です。歯ブラシの種類や磨き方については、歯科で指導を受けるのがよいでしょう。


歯周病の原因と治療(イラスト)

 日常生活の上では、特に喫煙習慣は歯周病の危険因子の一つとされ、歯肉の血液循環が悪くなるなど、歯周病を悪化させる原因ともなっています。また肥満や糖尿病などの生活習慣病があると、細菌に対する免疫力が落ちることから、歯周病の進行に影響があることが分かってきました。禁煙や肥満を防ぐ食生活など、生活習慣の改善も、歯周病予防のために大切だといえます。

<資料:JA広報通信>



高齢者のヘルニア(脱腸)

佐久総合病院名誉院長●松島松翠


  ヘルニアというのは、臓器の一部が飛び出した状態のことをいいます。子どもから高齢者まで多いのは鼠径(そけい)ヘルニアで、これは鼠径部(太ももの付け根の部分)におなかの中にある腸が飛び出してくるので、この名が付いています。別名脱腸ともいいます。


  なぜ飛び出すかというと、鼠径部の組織に弱いところがあって、そこから腸が飛び出しやすくなっているからです。乳幼児の場合は、生まれつき鼠径部の組織が弱く、つまり先天的な原因で、鼠径ヘルニアを起こしやすくなっていますが、成人の場合は運動不足などによって、その部分の組織が弱くなっていることが原因です。



  症状としては、右あるいは左の太ももの付け根の部分に柔らかい膨らみができます。これは、腸がはみ出しているからです。ただおなかを上にして寝ている状態でははっきりしないことがあります。はみ出した腸が元に戻ってしまうからです。立ち上がったり、おなかに力を入れて腹圧をかけると、また腸が出てきて膨らみが目立ってきます。

高齢者のヘルニア:脱腸(イラスト)

  この膨らみが急に硬くなったり、押さえても引っ込まなくなったときは危険です。このときは、嵌頓(かんとん)といって、脱出した腸の部分が締め付けられて、「腸閉塞」の状態になり、血流が悪くなり、腸が壊死してしまう危険があります。この場合は緊急の手術が必要になりますが、通常の場合でも治療の原則は手術です。高齢者では、子どもほど嵌頓の危険は多くありませんが、ヘルニアは自然に治ることはありませんので、ヘルニアと診断されたら、体調の良いときに手術されることをお勧めします。高齢者でも心配なく、日帰り手術も可能です。


<資料:JA広報通信>



痔には早めの手当てを

佐久総合病院名誉院長●松島松翠


  「痔(じ)かもしれない」と悩んでいる一方で、我慢して放っておかれる方も多いのではないでしょうか。ひと言で痔といっても、「いぼ痔」「切れ痔」「痔ろう」の3種類があり、手当ての仕方が異なるので、早く診断を受けて正しい手当てをすることが大事です。


  「いぼ痔」では、排便時にポタポタと出血する、肛門からいぼのようなものが飛び出す、というような症状があります。便秘がちの人、長時間座って仕事をする人、妊娠、出産の経験のある人に多く見られます。


  薬には座薬と軟こうがあり、肛門から挿入しますが、いずれも出血や腫れ、痛みを抑える作用があります。いぼ痔が脱出するようになった場合などには、手術が行われます。


  「切れ痔」では、排便時に強い痛みがあり、排便後もしばらく強い痛みが続く、少量の血液がトイレットペーパーに付くこともある、というような症状があります。硬くなった便をいきんで出すことによって、肛門の一部が切れたり、裂けたりするためです。便秘がちの人、括約筋の緊張が強い若い人に多く見られます。


  治療には、軟こうと便を軟らかくする軟便剤(内服薬)が用いられますが、慢性化した場合は、手術が行われます。

痔には早めの手当てを(イラスト)

  「痔ろう」では、お尻にしこりがある、肛門の周囲のお尻に膿(うみ)が出る、などの症状があります。お尻がべたつき、下着が汚れたりします。男性や下痢症のある人に多く見られます。痔ろうは薬だけでは治りません。痔ろうを治すには、手術が必要になります。


  なお全部に共通することですが、肛門からの出血は、大腸がんやポリープで起こることもあるので、出血があった場合には、必ず医療機関を受診するようにしてください。


<資料:JA広報通信>



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